相続登記の義務化については,令和6年4月1日以降の情報です。

未登記建物の相続登記申請義務

「未登記建物」とは

「未登記建物」とは,建物を新築したにもかかわらず,法務局に表題登記を申請していないため,登記記録が存在しない建物のことです。
また,新築時に表題登記を申請して登記記録は存在するものの,その後増築した場合に「増加した床面積について変更登記が未了の部分」を指すこともあります。


固定資産税との関係

市町村は,登記記録の有無に関係なく,現地に建物が存在すれば固定資産税を課税しますので,登記記録の有無と固定資産税の課税の有無は必ずしも連動しません。
つまり,固定資産税を納めているからといって必ず建物の登記がなされているとはいえず,実際に登記記録を確認する必要がある,ということです。


建物を登記する義務と罰則

あまり知られていませんが,「建物を新築したら1か月以内に表題登記を申請して登記記録を新たに作成する義務があり,違反すると10万円以下の過料に処せられる」というルールは,相続登記申請の義務化以前から既に存在していました。
しかし,様々な事情により,このルールは適用されるケースがほとんどないまま現在に至ります。

参考
(不動産登記法第47条)
新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1月以内に、表題登記を申請しなければならない。
2 略


(不動産登記法第164条)
第36条、第37条第1項若しくは第2項、第42条、第47条第1項(第49条第2項において準用する場合を含む。)、第49条第1項、第3項若しくは第4項、第51条第1項から第4項まで、第57条又は第58条第6項若しくは第7項の規定による申請をすべき義務がある者がその申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処する。


相続登記の申請の義務化の影響

未登記の建物について,以前から表題登記の申請義務はあったわけですが,この度の相続登記の申請義務化により改めてこの規定が注目されるかどうかは今のところ不明です。
未登記の建物など世の中に数えきれないほど存在する中で,法務局が,建物の表題登記の申請を行ったうえで相続登記の申請義務を果たさせるところまで厳しくチェックするのかどうか,という話になるのですが,実際問題それは難しいのではないかな,というのが率直な感想です。

とはいえ,今後の動向には注意が必要かもしれません。